江戸時代から暖簾を守り続けてきた「玉ひで」は、親子丼発祥の店として広く知られる鶏料理店です。創業はおよそ265年前という歴史の深さで、昼どきには行列が絶えず、かつては最長で5時間も待つほどの人気だったとか。長く続いた修繕工事のため一時休業していましたが、先月10月に再び扉を開き、待ち続けたファンから喜びの声が上がっています。

そもそも玉ひでは、親子丼専門店として出発したわけではありませんでした。元々は軍鶏を使ったすき焼き、いわゆる「しゃも鍋」を提供する店。その鍋の残り汁を、常連客が卵でふわりととじてごはんにかけて味わう姿を見た5代目のおかみが、だったら最初から丼として提供してみよう、と発想したのが親子丼の始まりだそうです。明治24年から続く名物料理ですね。

さらに特徴的なのが、丸みを帯びた球体のフタを持つ器です。おかみさん自らの考案で、蒸らし効果を高めるための工夫なのだとか。「親子水入らず」という言葉にちなんで、玉ねぎや三つ葉を用いないのも玉ひで流のこだわりです。鶏と卵だけで勝負する潔さが伝わってきますね。

元祖親子丼の作り方には、代々引き継がれてきた手順があります。まずは秘伝の割り下を温めるところから開始。砂糖を使わず、しょうゆとみりんのみで旨みを引き出しているため、口に含むと芳醇な香りが広がります。この割り下こそ、玉ひでの味の礎でしょう。

割り下がほどよく温まったら、ブランド鶏として知られる「東京しゃも」を投入します。しっかりした歯応えと濃厚な旨みを持つ東京しゃもは、親子丼に奥行きを生む素材。もも肉とむね肉の2種類を使うことで、食感の違いが楽しめる構成になっています。肉好きにはたまらないポイントですね。

続いて、こだわり抜いた卵を流し入れます。100種類以上の候補から親子丼に最適な卵を選び抜いており、黄身は自然な色味のやさしい黄色。二度に分けて卵を入れることで、とろりとした部分とやわらかく火の通った部分のコントラストが生まれ、味わいに奥行きが出ます。この二段階の加え方が、玉ひでらしさを支える技ですね。

仕上げはごはんの上へ丁寧に盛りつけ、例の球体フタをかぶせて少し蒸らします。器の内部に十分な空間が生まれるため、過度に蒸れず、卵とごはんがほどよく馴染む仕組みです。蓋を開けた瞬間の香り立つ湯気が、食欲をいっそう刺激します。

こうして出来上がる元祖親子丼は、一見シンプルでありながら、素材選びから調理の順番、器の形に至るまで、さまざまな工夫が重なって生まれた逸品といえます。長い歴史を経ても多くの人に愛され続ける理由が、ひと口食べれば納得できるはずです。



　

今回は鳥料理玉ひでを紹介しました。

旅行やお出かけにピッタリですし、 一生の思い出に残る名スポットですので是非訪れてみてください。



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